名探偵北村倫理の永久についての考察など【2/25追記】
【この記事にはワールドエンドヒーローズのイベント「名探偵北村倫理の永久」のネタバレがあります。】
指揮官の皆様お疲れ様です。
今回のイベントストーリーも最高でしたね!!
特に終盤の世界がどんどん消えていくところはとても恐ろしく、倫理くんの独白、そして分岐の選択肢ではハラハラドキドキしました。「ヒーロー」を取り戻してからの倫理くんの逆転劇は最高に熱くてかっこよかったです。
そんなわけでテンション急上昇につき、今回のイベストで登場した登場人物たちについて、自分なりの考えをまとめてみました。
あくまでも私が考えたことをまとめたかっただけですので、こういう考え方もあるのか~程度で見ていただけますと幸いです。
長くなりましたので、お暇な時におやつでも食べつつお読みください。
あと勢いだけで書いてるのでおかしな点があっても笑ってください。
【注意】
実は私は最後の選択肢で「探偵」を選ぶルートを見ていません。
気になってはいるのですが、個人的なこだわりとして避けられるバッドエンドは回避する派のため、おそらく今後もルート回収はしないと思います。
もしバッドエンド側で重要な情報がありましたら申し訳ありません。
<前提条件>
考察の前に、まずはこのイベントの前提についてまとめます。
以下は共通認識と考えて問題ないと思われますので、これらを前提として考察していきます。
・このイベントストーリーは北村倫理の夢の中の話である
・倫理はイーターによって夢の世界に捕らわれている
・イーターは仲間たちの姿をした登場人物を使い、倫理の精神を破壊しようとしている
・その結果として倫理はループ(?)を何度も体験することになった
ただし前提に対して、「そもそもイーターなんていなかった」という考え方もできることは注記しておきます。
倫理くん自身も言っていることですが、あれがイーターによるものだと他の人が信じるかはわからないですし、倫理くんがイーターの仕業だと思い込んでいるだけで、実際にただの悪夢かもしれないわけです。
しかしそこまでいくと考察が出来ませんし、何より私が指揮官なら倫理くんの意見を信じるので、今回の前提は箇条書きの通りとします。
<仲間たちの変化について>
倫理くんの夢の中で、仲間たちは様々な立場や目的を持って登場しますが、それはどれも普段の彼らを知る人間からすると違和感を覚えるものです。
これについては様々な見方があると思いますが、今回の考察の主軸となる私の見解を端的に記すと、
「登場人物たちは、彼らをヒーローたらしめている部分を失った状態になっている」
のではないかと思います。
つまり北村倫理を支える核である「ヒーロー」という部分を壊し、あるいは忘れさせるために、それを失くした登場人物たちをイーターは倫理くんにぶつけているのだろう、と私は理解しました。
作中、登場人物たちは物理的(外観的というべきか)に殺し合い、死んでいきます。しかし同時に、ヒーローとしての自分を奪われた彼らは、精神的にもう殺されているとも言えます。
そして作中で探偵北村倫理が求められた役割は立会人などの傍観者でした。ループする世界で、倫理くんの前でヒーローたちの肉体と精神をひたすら延々と殺し続ける、それを見せ続けることで、北村倫理というヒーローを追い詰めようとしたわけです。
それを裏付けるのが柊くんとの会話です。
それまで違和感にツッコミを入れつつも、夢の登場人物たちの設定にはつっこまなかった倫理くんが、バトルロイヤルのお屋敷で初めて彼らに「君たちらしくない」と異を唱えます。
そして柊くんの彼らしくない部分や、彼らが殺し合いをすることへの疑問について言及していくうちに、倫理くんは自力で「ヒーロー」の存在に辿り着きかけます。
つまり、登場人物たちの違和感の原因は、まさに彼らが「ヒーロー」らしくないことではないか?という推測ができます。
その後、慌てたのであろうイーターによって急遽送られた世界では、認可高とヒーローたちの存在が消えています。倫理くんが自力で真実に辿り着きかけた以上、もはやヒーローたちと関わらせるのも危険だと判断したのでしょう。
もうひとつ重要なことは、これはあくまでも北村倫理の夢の中であるということです。
イーターが奪ったであろう「ヒーローとしての核・ヒーローらしさ」ひいては「彼ららしさ」は、倫理くんがそう認識している範囲内であり、それが失われているのが今回の登場人物たちです。
つまり逆に言うと、この夢の中で描写されていない部分こそが、倫理くんが最も彼らが彼ららしい、ヒーローらしいと思っている部分だということ。
ラストの倫理くん風に言うならば、登場人物たちの言動を確認していき、本来あるべき場所に「空白」を見つけたなら、それこそが「倫理くんが見ている彼らの本質」だということです。
では上記を踏まえて、各キャラクターたちを細かく見ていきたいと思います。
<志藤正義>
「家から自立した新聞記者の長男」です。どこがポイントか非常にわかりやすいですね。
ヒーローの正義くんの核は「星乃慧吾」、更に言えば慧吾の代わりに背負っている「星乃の家」であることは間違いありません。彼が慧吾の遺志を継ぐ限り、家を捨てることはまず有り得ない。
家を出る、という部分で連理さんを思い起こさせるのも面白いですね。
また、正義くんは星乃のために「真実を隠す」側の人間です。その点も新聞記者というのは皮肉が効いています。
更に言うならば、第一の富豪の家では、長男の正義、次男の寿史、二人と兄弟同然で育った敬、そして当主に拾われた一孝が登場します。この中で家督を継ぐ権利があるのは兄弟だけです。
ではこの家督を現実に置き換えた場合、「星乃の権力」が相当するでしょう。そして当主が慧吾でない以上、この家には正義くんより上の兄がいたはずなのです。しかしそれは登場しない。ヒーローである志藤正義の核だから。
<御鷹寿史>
「家で悠々自適に暮らす浪費癖のある次男」、こちらもわかりやすい。
当主が死亡した時に正義に叱咤された様子を見ると、少々無神経かつ考えなしなところも見受けられます。
寿史くんは普段から自分に対して厳しく、かつ、人に対しては細かい気配りと優しさを忘れない人です。周囲もその優しさこそヒーローの資質だと思っていますし、おそらく倫理くんもそう考えているのでしょう。
そして倫理くんは、よく寿史くんに対して「こちら側に来てもおかしくない人」と表現しています。それは寿史くんが残虐や冷酷ということではなく、むしろ逆で、連理さんのように星乃のやり方に耐えられないから、ということだと思います。
夢の寿史くは当主を殺したり逃げ出したりしそうにないくらい胆が据わっているように見えますね。ある意味ヒーローに向いている気がしますが、「こちら側」に来かねない危うさも寿史くんをヒーローとして強くしていく要因だと倫理くんは考えているということでしょう。
<伊勢崎敬>
第一の事件の犯人です。
おそらくなのですが、倫理くん的におそらく「絶対に人殺ししそうにない判定」の人から殺人の犯人になっているような気がします。それが「人を殺そうとするわけがない人」なのか「殺そうとしても殺せない人」という認識なのかは置いておきます。
夢の敬くんは「兄弟同然に育った二人と家を守るため」当主を殺害しました。これを現実に置き換えた場合、正義くんと寿史くんのことを表すのか、それとも兄弟同然に育った施設組二人のことを暗示するのかは謎なので置いておくとして、気になるのは彼が家を守ろうとしている点です。
伊勢崎敬というヒーローの根底は「みんなのいた家を失ったこと」だと思われます。つまり守るべき家はもうどこにもないのです。
よく敬くんは「ひとつだけ」と口にします。敬くんが守りたいひとつだけが何なのかは未だに指揮官にもわかりませんが、倫理くんからすると「彼らじゃない」ということなのかなと。
<武居一孝>
第一の事件の使用人であり、結果として他の三人を巻き込んで全滅する形になりました。
夢の一孝は当主に心酔しています。これが拾われたというエピソードからして星乃のことを暗示するのか、それとも指揮官のことなのかは不明ですが、いずれにせよ忠誠を誓う武居一孝なんてありえねー!と倫理くんは鼻で笑うでしょう。
一孝をヒーロー武居一孝たらしめるものは、彼の強靭な独立独歩の精神です。星乃の婚外子として様々な逆境に晒されつつも、母や妹のためにも割り切り、一歩一歩生きてきたからこそ今の一孝があるわけです。
第一の事件の四人の中で、一番別人レベルで違和感があるのは一孝です。つまり彼は丸ごと作り変えなきゃどうしようもないレベルで、在り方そのものがヒーローで彼らしさなのだろうと思います。
そして一孝による第一の事件の全滅と、後々のvs浅桐での殺害という大量キル、「武居サンが人殺しとか絶対ありえねー!」って思ってそうな倫理くんの思考が見える気がするんですよ。だってほら、武居一孝は武居一孝だから、みたいなところあるし…。
<矢後勇成>
第二のお屋敷の長男です。
矢後くんは倫理くんのツッコミ通り、何かちょっと頭良くなった…?くらいで、普通にガラは悪いし、病気もそのまんまっぽい、能力については言及がないのでわからない状態で、この夢の登場人物では一番変化がよくわからない人です。
これはそもそも矢後くんに「ヒーローとしての理由」というのがあまり無い人だからじゃないかと思います。
矢後くんが闘争を求めるのは、アニバの浅桐さん曰く持病等から来る「飢え」です。でも矢後くんにとってヒーローは、ベッドの上でつまらない死に方をしないための手段であって、何なら強い相手と戦えればヒーローじゃなくてもいいかもしれないわけです(色々な体験を経て変化している最中ではありますが)
一孝の生き方そのものが変えざるを得ないほどヒーローっぽいとしたら、矢後くんの生き方はナチュラルにどこまでもヒーローっぽくない。少なくとも倫理くんは全然ヒーローっぽくないと考えている。だから矢後くんはほぼまんまで影響が少なかったのかな、と。
ところで作中で、助手以外で一番倫理くんに積極的に絡んでいたのは矢後くんだったように思うのですが、倫理くん側から最初に共戦を持ちかけたのは久森くんなんですよね。久森くんについては後述しますが、風雲児の二人はヒーローとしての理由があまりないのでイーターの影響も薄くて、結果として倫理くんに多く協力する形になったのかも……?
<頼城紫暮>
第二のお屋敷の次男なわけですが、正直よくわからない人です。
考察しようと思って読み返したんですが、登場が少ない、物語に絡んでこない、流されっぱなしなので、作中での次男紫暮がどういう人なのか全然よくわからないんですよね。
しかしそれこそが頼城さんらしくないとも言えます。本来の頼城紫暮はそこに居るだけで存在感MAXの男ですからね。
頼城さんも生き方そのものがヒーローという人です。しかし頼城さんは自覚的に「頼城紫暮」として振る舞おうとしているところがあります。
「頼城さんを頼りなさい」「頼られなければ頼城紫暮である意味がない」の台詞が象徴するように、彼は常に頼れる男であることを心がけており、家族のように大切にしているラ・クロワの二人に対しては父親であると主張するほどです。
しかし夢の頼城さんは、次男で流され気味で無力で積極性もない。もしかしたら、倫理くんの想像する「頼城紫暮を演じない紫暮」が次男紫暮の姿なのかもしれません。
<戸上宗一郎>
執事にして第二の事件の犯人その1です。
彼について気になるのは、殺人の動機は復讐らしいと一応語られるのに、それが曖昧すぎて何を示してるのか全然よくわからないところです。舞台設定からして、富豪に潰された家の復讐とかそんな感じ?みたいな憶測はできるのですが、そこについては何も話してもらえません。作中ではっきり提示されたはずの戸上の復讐という動機こそが、逆に彼の「空白」になっている。
戸上くんは元々崖縁のヒーローの家系です。そのためヒーローになり、崖縁がピンチと聞いて転入したという話でした。
つまり彼のヒーローとしての生き方に迫ろうとする場合、戸上家、おそらくは叔父さんについてフォーカスする必要があるのですが、ここの情報が今のところ全く無いんですよね。叔父さんと全然連絡が取れてない、罪を犯して追放された?みたいなレベルの話しか出てない。
これは完全な憶測ですが、おそらく倫理くんは我々の知らない戸上家の情報を掴んでいるんじゃないかと思います。戸上くんが恨みを抱いてもおかしくないような何かがあったんじゃないかと。
しかし戸上くんは復讐などせず、むしろそれをバネにヒーローを目指した。あるいは崖縁を再建させようとした。だからこそ作中の復讐の動機が空になっている。
<浅桐真大>
使用人にして第二の事件の犯人その2、仕掛けで全員を潰した張本人、そしてバトロワで武居一孝を殺す男。
キル数は一孝とタイです。まぁ浅桐さんは人殺すわけないよねー、って倫理くんはたぶん思ってる。
本物の浅桐さんと使用人浅桐さんが決定的に違う点は、彼が自分の発明品を、誰かを殺すため、不幸にするために使っているという点です。
浅桐さんにとって改造や発明や企画はヒーローとしての拘りとセットです。親にヒーローベルトを買ってもらえなくて自作を始めたように、出会ってすぐの少年を希望通りヒーローに改造したように、彼の発明はハッピーエンドのためのものです。
それを計画的に復讐からの全滅というバッドエンドのために使うのは、浅桐さんのヒーローとしての誇りを踏みにじるようなものと言ってもいいでしょう。
<斎樹巡>
いっぱいいる長男の一人です。
先日のクリスマスイベントのカドストにおいて、巡くんの事情が少し明らかになりました。顔も知らない兄弟のようなもの、おそらくは巡くんを生み出す前に破棄された失敗作がたくさんいるらしいという新事実。カドストはそれを巡くんがひっそりと悼む、という内容だったわけですが、その、ねぇ、ひどい役柄ですね……。
「決して忘れはしない」って言わせてるあたり確信犯(誤用)だと思うんですがそれは。
(倫理くんはどこまで知っているんだろう…?)
彼は自分がヒーローに向かないと主張しますが、命を大切に想うその姿勢はヒーロー向きであり、笑みさえ浮かべて殺人に積極的な長男巡はその裏返しの姿と言えます。
<久森晃人>
バトロワ屋敷の執事です。
倫理くんが干渉するまでの期間が短すぎるのでよくわからないですが、いつもとあまり変わらないように見えます。他の子と違って殺意もなさそうです。
矢後くんの項でも呟きましたが、たぶんヒーローとしての理由が薄いので、彼もあんまりイーターの干渉の影響を受けることがなく、倫理くんが簡単に説得できるレベルだったのかもしれません。
あとは気になるのは「見えるよね」という台詞が「視える」ではない点。おそらく未来視は使えない状態ではないかと。
憶測ですが、夢の久森くんが未来視を使えないとすれば、矢後くんもおそらく怪力能力がないだろうと考えられます(まぁ倫理くんの夢の中で未来視を使っても効果が謎すぎますが……)
風雲児の二人にとって、能力はヒーローをする理由そのものではありませんが、もし能力が無ければ今頃ヒーローをやっていないので、そういう意味でイーターに奪われた……のかも?
<透野光希>
バトロワ屋敷の次男です。彼はもう「わからない」が答えのような気がします。
次男光希は殺されかけても、感じ方や伝え方がわからないと言い、恐怖さえ浮かべることがありません。倫理の説得にもわからないと呟きます。
光希くんは元々ヒーローになりたくてなったわけではなく、なるような流れがあったから、あるいは誰かの作為があったからヒーローになっただけです。つまり彼にはヒーローとしての核となる部分が殆どない。
しかし同時に、ヒーローとして白星で仲間に囲まれて過ごす以外の生き方を知らないのもまた事実であり、そんな光希くんがヒーローという軸を失えば、後は不安定な存在が残るだけなのは当然と言えます。
<霧谷柊>
バトロワ屋敷の長男そのにです。
彼については倫理くんが全部説明してくれているので解説不要かと思います。
柊くんをヒーローたらしめるのは彼の守りたい小さな世界であり、だからこの世界の長男柊はヒーローではないわけです。
倫理くんが「ヒーロー」という答えに辿り着きかけた相手でもあります。
余談ですが、私は雑誌にも乗ったアニバカドスト倫理の柊くん評がとても好きだったりします。「せめて霧谷くんは報われたほうがいいと思う」って、まさか倫理くんがそんなことを考えるとは思わなかったので。
そういう気持ちもあって柊くんには真摯に説得した部分もあったのかな……と、考察というより欲目で少し思っています。
<三津木慎・佐海良輔>
名探偵の助手その1とその2。
それぞれのお屋敷について「呪われてたのかも」と言い出した時、「君たちは呪いとか信じないでしょ!」と思わずツッコミしてしまいました。本当の崖縁1年ズは呪いとか幽霊とか信じない派なので……。
この二人については、とにかく探偵と共に「傍観者」をやっているところが一番彼ららしくないところです。倫理くんもよく知るであろうヒーローの慎くんと佐海ちゃんは、どんな時も考えることを止めず、自分の正義のために走り出すような子たちです。
バトロワ屋敷での会話、傍観者を止めようと決めた倫理くんに対して、佐海ちゃんと慎くんが消極的なせいで、いつもと逆の立場っぽくなってるのが面白いですね。
あと、第二の事件で館が崩れる際に、探偵を崩落に巻き込もうとした(?)性格の悪い助手佐海をわざと描写するあたりから、逆に倫理くんが「佐海ちゃんはヒーローだから例えボク相手でも助けずにはいられないタイプ」と考えていることが読み取れる気がします。
ところで何故この2人が倫理くんの助手だったのかを考えていました。
他の登場人物がどんどん死ぬ世界において、助手2人はおそらくずっと安全な状況にいました。つまりイーターとしてはこの2人を殺したくなかったわけです。
それは何故か。この2人が生きていて傍にいることで、自然と倫理くんの精神が緩むと考えたからではないか。
もしも倫理くんが助手なしで一人で事件に巻き込まれていたら、この世界にもっと強い警戒心を抱いたんじゃないでしょうか。しかしイーターとしてはそのまま探偵物語に没入してもらいたい。そのためには倫理くんが無意識のうちに油断するような、信頼できる夢のナビゲーターが必要だった。
そうして選ばれた、ある意味では罠が助手の2人だったのかもしれない、という結論。
以上、夢の登場人物に対する個人的な考察でした。
【2/25追記】
<11話のラストバトル>
プレイヤーが「ヒーロー」の選択肢を選んだ先の11話で、倫理くんはイーターと対峙し、仲間たちの影を呼び出して戦います。
そして倫理くんはこれを「解決編」「見つけ出した真実」「ボクの仲間である真実」「誰からも必要とされない物語の役者」「ヒーローを元にした影」と称しています。
この影たちは、夢の中の舞台でイーターが必要としなかった登場人物たちの「ヒーロー部分」ではないかと思います。
イーターに姿を取られているので影しか残っていない。そしてその影のシルエットはヒーローの形をしている。
10話で倫理くんが自分の「空白」に「真実」=「ヒーローであること」を見つけたように、劇中の登場人物たちの違和感である「空白」=「真実」は「ヒーローとしての部分」だったという演出なのかな、と感じました。
<登場人物たちの配置等>
この記事を見てくださった方から、
「ヒーローで無いから光希くんは白星と別の屋敷だったのかも」
「風雲児は一緒にいないことがキー(=一緒にいることがヒーローとしてのキー)なのでは」
というような反応がありました。私は配置については全然考えていなかったので大変貴重な見解でした。
ということで、各学校ごとに、シナリオ内での配置等について考察してみました。
(作中の出来事でいえば、ループしているうちに別の配役もあったとは思うのですが、ライターさんがあえてこの配役を見せたことに意味があると考えて考察します)
[崖縁]
先輩2人は第二の屋敷に相棒として、後輩2人は倫理くんの助手として配置されます。
戸上くんはかつて、慧吾を失ったショックを引きずっていた頃、崖縁へ来て浅桐さんに心臓を強化されました。そしてその際、心臓を強化すれば皆を守る盾になれると言われます。浅桐さんにヒーローとしての新しい生き方を貰ったと言えるわけです。
しかし第二の屋敷には、彼が守るべき相手はいません。本来であれば守るべき当主と兄弟はむしろ仇であり、相棒は共に死を選ぶ相手です。使用人浅桐の立場も、戸上くんを救う存在から、逆に執事戸上に死を与える存在になっていると言えます。
更に言えば、戸上くんの件も含めて、浅桐さんが方針を決めてハッピーエンドのために進むのが崖縁の基本スタイルです。ところが物語中、バッドエンドを先導しているのは執事戸上であり、使用人浅桐はそれに従っているだけのように見えます。これは崖縁のヒーローらしさを欠いていると言えるかもしれません。
助手二人の立場については、前述の通りイーターの罠であると私は考えています。
それはそれとして、崖縁のヒーローという観点から見た場合、慎くんをヒーローとして見出したのは浅桐さんです。第二の事件の時に助手が二人ではなく、助手佐海が知らないレベルで慎くんの存在が全く無いことにされているのは、そのヒーローになる運命が削除された結果を暗示しているのかもしれません。
(そう考えると、執事敬のいる第一の屋敷で助手が佐海じゃなかったことも意味深かも……)
[白星]
4人は第一の屋敷に、光希くんだけがバトロワ屋敷に配置されています。
前述の通り、光希くんは白星のヒーローとしての記憶しか持っていない子です。そうするしかないからヒーローをしているだけ。メインシナリオ第二章の倫理くんとの会話を思い出しますね。
それでも徐々に、ヒーローをする理由や光希くんらしさが形成されていくのを、白星メンバーや仲間たち、指揮官が見守っているわけです。
ところがそんな、見守る人々も、白星メンバーと過ごす空間も、育んできた自分自身もイーターが切除した結果、何も「わからない」次男光希になってしまった。白星メンバーと過ごしていることそのものが、透野光希というヒーローにとってはキーのひとつということですね。
もうひとつ気になるのが次男寿史くんの立場です。白星メンバーは、光希くんは勿論ですが、実力はあるのに自分に自信が持てない寿史くんのことも大切に見守る傾向にあります。そして同時に寿史くんなら出来ると信頼しています。
しかし長男正義は次男寿史を度々叱咤し、執事敬は二人のためと言いつつも次男寿史を一時的に陥れようとしました。使用人一孝はお茶の話から次男寿史に好意的と思いきや、それよりも当主が第一です。
寿史くんは自身の上位イベントで「自分は大したことがないが人に恵まれている」と語っていましたが、周囲の反応は彼の人間性があって初めて返ってくるものです。本人は気付いていませんが、それこそ彼のヒーローとしての素質でしょう。そんな彼の素質は、個で強く成り立つものではなく、他者との関わりの中で発揮されるものです。
そんな彼のヒーロー性を抜いた状態が、第一の屋敷の有様と言えるかもしれません。次男寿史が他者への思いやりを欠いていた結果、周囲にも恵まれなくなった。その結果が夢における次男寿史の厳しい立場ということです。
[ラ・クロワ]
ラ・クロワは頼城さんが第二の屋敷に、巡くんと柊くんがバトロワ屋敷に配置されました。
頼城さんは言わずもがな愛の人です。特に巡くんと柊くんに対しては常日頃から溢れる愛を送り、家族とまで言う程です。
そんな頼城さんの家族役として、おそらく彼がヒーロー内で唯一愛を向けることが無いであろう矢後くんを配置しているのは何とも皮肉というか、愛の人頼城を消すイーターの意図なのかもしれません。
巡くんは、詳細は不明ですが頼城さんに救われ、なんやかんや向いてないヒーローをやることになりました。そう考えれば、当然頼城さんと同じ屋敷に配置されるわけがありません。
また、かつての巡くんは、家族への愛が無い…というより、両親の愛情に恵まれなかったせいで、親の言うことを聞くだけの、自分の持つ家族への愛やそれに伴う感情が理解できない子供でした。それが頼城さんによって徐々に変わっていったわけです。
つまり巡くんからヒーロー頼城紫暮を取り上げたことで、上の言うことをただ聞くだけ、(現実では悼んでいる)兄弟でさえも殺すような存在になってしまっていると考えられます。
柊くんについては、彼のヒーローのきっかけも守ろうとしているものもラ・クロワ関係ではないため、立場的な意味での影響はあまり無いかもしれません。しかし彼の他者への頑なな部分は、ラ・クロワで過ごすうちに少しずつ和らいできており、倫理くんの説得へのあの頑固さは、ラ・クロワの影響がない彼の姿と考えることもできます。
[風雲児]
矢後くんは第二の屋敷に、久森くんはバトロワ屋敷に配置されました。
どちらもヒーローらしくないせいか、あまり影響を感じなかった二人です(ちなみに矢後くんはアニバカドストで倫理くんにはっきり「ヒーローっぽくない」と言われています)
久森くんは元々ヒーローになる気はなく、これも詳細不明ですが、矢後くんによってヒーローにさせられました。未来視という能力について少しずつ前向きになれたのは、ある意味そのおかげであるということが、メインスト4章最新話から見えてきます。矢後くんのいない執事久森がいつも以上に諦め気味だったのはそのせいかもしれません。
そして矢後くんは、つい先日のバレンタインイベでもそうですが、「風雲児」は身内として扱い、意外と大切にしている様子が度々見受けられます。指示にしても、無茶苦茶ではあるけれどリーダーとしての器はある。これも彼のヒーロー性と考えられます。
しかし第二の屋敷において、彼の身内は次男紫暮です。矢後くんにとっては天敵とさえ言える頼城紫暮が兄弟役なわけです。皮肉。そういう意味でヒーロー性を削がれる結果と言えそうです。
(あとこれはヒーロー性とは関係ないのですが、長男勇成の薬が無いというシーンで、現実では薬を常備している久森くんの不在を強く感じました)
以上、配置から見た各キャラの見解でした。